中学受験塾でお金をドブに捨てないための5カ条

 

 中学受験対策は何から始める? 今からできることは? 間違っているところがある? 現場の講師として親子の悩みに応え、大手の中学受験塾で実施された生徒アンケートで100%の支持率を誇った、カリスマ家庭教師「きょうこ先生」が、独自のメソッドを詰め込んだ『中学受験 6年生からの大逆転メソッド』を上梓。親がすぐできる塾対策を伝授します。

 1月~2月前半にかけての中学受験が終わるとすぐに、塾の在校生たちは新学年に進級し、新しいカリキュラムが始まります。

 中学受験をする上で、中学受験に特化した塾通いはほぼ必須です。4年生から塾に通えば、入試までに200万円近くの授業料を払うことになり、さらに6年生になれば、子どもは1週間のうちを20時間以上も塾で過ごすことになります。お金も時間も、これだけのコストをつぎ込むわけですから、塾を120%利用しなければもったいない! しかし、現実には多くの親御さんが、「塾に通わせている」だけで安心し、全くモトをとれていないのが実情です。ここでは、塾の費用対効果を最大限にあげるために、親がおさえておくべき5カ条をお教えします。

 

1)“塾に電話”が、子どもの命運を決める

 あなたは塾に電話をかけて、成績の話や勉強法などを相談したことがありますか? 子どもの学習態度を把握するためにも先生とのコミュニケーションを密にするためにも、「電話がけ」は必須です。私が塾講師をしていたときにも、毎週のように電話をくださる熱心な親御さんが毎年いらっしゃいましたが、やはり印象に残るもので、「クレームのないように」と授業中やテストの結果も気にするようになります。

 電話をかけるタイミングは点数、やる気などいろいろな面で「子どもが失速している時」。電話をかける相手は、(1)伸び悩んでいる教科の先生、もしくは(2)子どもが信頼している先生です。ただし先生を長時間拘束するのはやめましょう。一度の電話では質問の数を絞り、目安としては5分程度、長くても10分で切り上げるのが理想です。

 

2)塾の宿題はすべてをやる必要はなし! 

 受験生の親御さんから最も多く相談されるのが「塾の宿題が多すぎて終わらない」という悩み。もともと塾の宿題は個々人にカスタマイズされたものではなく「該当クラスで必要と思われる理想量」が出されており、“宿題を出しているのだからテストや入試問題で解けないのはやらない方が悪い”というエクスキューズとなっている場合もあります。

 しかし、宿題が終わらなかったから塾に行きたくない、宿題が終わらない自分はダメだ……という悪循環に陥っては長い受験勉強を乗り切ることはできません。

 そこで、親が子どもに応じた宿題の量をきっちりと見極める必要があります。素人判断は危険なので、本人に先生まで聞きにいかせるか、親が電話をして「今の宿題量を全部やるのは無理なのだが、どこを減らしても良いのか」を相談しましょう。親身になってくれる先生に直接相談すれば、その子にとっての必要量を適切に答えてくれるはずです。

 

 

3)保護者会は「終わった後」が正念場

 塾で定期的に開かれる保護者会。役立つ話もたくさんありますが、そこで語られるのは、多くの保護者の前で話してもさしさわりのない内容のみ。実は、保護者会は「終わった後」こそ、わが子にカスタマイズしたアドバイスをもらえる正念場なのです。

 ぜひ、終了後に先生をつかまえ、電話では不可能な「答案分析」をしてもらいましょう。苦手科目の答案用紙、もしくはノートを持っていき、「先生、一つで良いのでアドバイスをお願いします」とお願いすれば解き方を通して子どもの学習のクセを判断し、活きたアドバイスをくれるはずです。

 また、心をこめて日々の御礼をいい、好感度を最大限にまで引き上げておく事も大切です。ただし、人気講師ほど保護者による長蛇の列ができるもの。先生を拘束するのはせめて3分程度にしましょう。

 

4)塾の先生に目をかけてもらう

 先生に目をかけてもらえば、子どもの成績は確実に伸びます。そのための方法として有効なのが、塾に電話したときに「次につながるネタを仕込む」こと。つまり、次の授業の時に先生が子どもに声がけしなければならなくなる内容を相談することです。

 たとえば、親が注意しても直らないことなどを「字が雑なので、次の授業のとき先生から注意してやってくれませんか?」と言い添えるだけで、先生は次の授業でその子に目をかけないわけにいかなくなります。塾の授業前後の質問教室などを子どもが活用しないという場合も、あらかじめ先生に「授業後に質問があると言ってますのでよろしくお願いします」と電話を入れておけば、先生のほうも帰ろうとしている子どもをつかまえて「質問があるらしいね」と言わざるをえません。

 しかし何より大切なのはわが子に対する先生の熱意を引き出すことです。そのためには要所要所で「先生のおかげです」と伝えましょう。これは教えている立場からすると本当に嬉しい言葉で、どうしてもその子に肩入れしたくなるものです。

 

5)転塾は6年のゴールデンウィークまでに

 塾にはそれぞれ特性があり、子どもによって最適な塾は異なります。たとえばサピックスは教材も通っている生徒のレベルも高いため、難関校以上を受験したいとか、もともと勉強が得意な子にはぴったりですが、そうでない子にはかなり辛くなります。四谷大塚や浜学園の教材も6年生になると応用問題が主体となり、難関校志望の子でもかなり苦戦します。中堅校志望と相性がいいのは、日能研や栄光ゼミナールなど。日能研のテキストは6年生でも基礎から積み上げられる作りになっており、基礎に不安の残る子に向いています。

 通っている塾のレベルが高すぎる場合には、実力に合う塾に転塾させることも視野に入れるべきですが、小学校には塾ヒエラルキーがあり、子どもにはプライドがあるので、注意が必要です。子どもの立場や気持ちをきちんと理解してあげた上で、納得のいく道を丁寧に話し合ってください。6年生のカリキュラムが始まってみないと我が子と塾のレベルの乖離が見えないこともあります。塾のペースに乗っていく事も必要なので、様子を見た上で、転塾するか否かはゴールデンウィーク前後までに決めましょう。

 いかがでしょう?  塾をとことん活用することが、受験成功の第一歩です。

 そして、さらに、合否をわけるいくつかのポイントがあり、中でも最重要なのが志望校対策、具体的に言えば、志望校の入試問題の傾向を知ることです。ここをしっかり把握することで、上のランクの学校への大逆転も視野に入ってくるのです。

 ぜひ、子どもにとってベストな勉強方法を見つけて下さい。

 

 

文春オンライン 2/13(月)