受験校選びについて


さて、どの学校を受験しようか。

中学受験における受験校選びのポイントを考えてみます。

 

・中学受験の志望校選び

・学校説明会へ行こう

・オープンスクールへ行ってみる

・学校を見た感想を書いておく

・偏差値にとらわれすぎずに選ぼう

・6年生の秋には第一志望校を最終決定する

・中学受験の志望校選び

 

志望校を選ぶのは中学受験の難題のひとつです。入学試験の難易度と子供の学力とのかねあいは確かに重要ですが、子供としては中学高校と多感な6年間を過ごすわけですから、子供の性格や夢、目標など様々な要素を考慮する必要があります。

何校かの中学校の学校説明会等に足を運び、教育方針や教育理念が共感できる中学校、子供が通いたいと思う中学校を納得いくまで吟味しましょう。また学校説明会に子供を連れて行ったり、目標にしたい中学校について親子で話し合うなどしながら家族みんなでじっくりと志望校を選んでいきましょう。

 

★学校説明会へ行こう

私立中学が受験生の保護者に向けて学校の紹介を行う学校説明会。学校側としては求める生徒像を伝える機会でもあるわけです。その学校の教育方針や、求める生徒像が自分達が求める教育像、子供の理想像に合うかどうか良く見極めましょう。

学校説明会で行われることには

・学校の教育方針や教育内容の説明

・学校の施設の説明

・学校生活の説明

・入試要項の説明、入試問題の傾向やポイントの説明

などがあります。

学校説明会は複数回実施されます。受験する可能性がある学校の説明会は何度か足を運んでみた方がいいでしょう。受験者の平均点や合格最低点などはインターネットでも入手可能ですが、学校側が説明する試験傾向などはその年によって変わります。

「前年は算数については試験問題が難しすぎたため、学校の意図するような選抜が上手く実施できなかったので本年は若干試験問題を簡単にするつもりです」

などという話を学校側から直接聞くことが出来るのが学校説明会に足を運ぶ大きなメリットです。

また、試験が近づいてきてから行われる学校説明会では参加者の数を意識しましょう。学校説明会への参加人数が多い学校は、その学校を受験しようと考えている保護者の数が多いということ。学校説明会の人気の度合いは受験の時の倍率に現れることも多いので、志望校選びの際の参考に。

 

★オープンスクールへ行ってみる

首都圏の多くの私立中学で開催されるオープンスクール。実際にその学校での授業を見学することが出来たり、受験生が授業やクラブ活動を体験したりすることが可能です。学校生活を擬似体験することが出来るのは志望校を選ぶ上でも、非常に参考になります。受験を考えている学校がオープンスクールを開催していたら、一度足を運んでみると良いでしょう。

 

★学校を見た感想を書いておく

学校説明会やオープンスクールはその学校の教育方針や理想の生徒像が自分の家の教育方針とマッチするかどうかを調べる良い機会です。

志望校選びの参考のためにその学校の長所や共感出来る部分についてはメモしておきましょう。学校説明会から帰ってきたら子供と一緒に簡単でも良いのでその学校の印象をまとめた感想文を書いておくのも良いでしょう。

実際に志望校へ出願する場合、出願時に志望動機を書く欄があります。志望動機を書く時には学校説明会やオープンスクールから帰ってきて書いておいた感想メモが役に立ちます。

 

★偏差値にとらわれすぎずに選ぼう

受験校を選ぶ際には、偏差値にはあまりとらわれすぎないようにしましょう。現状の偏差値に気をとられすぎず、目標を高く持って勉強していくことで成績も向上するものです。偏差値は参考にはなりますが絶対ではないということを忘れないようにしましょう。

受験当日のコンディション、入試問題との相性などで、入学試験時の成績は大きく変わります。偏差値で5~10くらいの変動がある場合も珍しくありませんので、志望校を選択する時にも偏差値に幅をもたせ、数多くの学校を対象に本人にあった学校を絞り込んでいくようにしましょう。

 

★6年生の秋には第一志望校を最終決定する

第一に志望の学校については、5年生の終わり頃から6年生の初めくらいには一度決めるようにします。学習塾に通っている場合には学習塾の先生にも数校の候補を挙げて貰えますので、それも参考にしながら子供の成績や意思も考慮しながら家庭でよく検討して志望校を決定しましょう。

志望校の学校説明会や文化祭、運動会、オープンスクールなどのイベントにはなるべく足を運び学校の生の雰囲気をつかみましょう。実際に学校を見ることで子供の中学生活に対するイメージも構築され学習意欲の向上にもつながります。

一旦第一志望校を決定しても子供の成績が伸び悩んだり、上下の変動が激しかったりする場合もあります。6年生の夏くらいまでは安定しない子供の成績に一喜一憂せずにやらなくてはいけないことをしっかりとやらせるようにしましょう。そして6年生の秋には最終的に第一志望校を決定します。

一度第一志望校を決定したらその後は志望校を変更しないのが原則です。志望校を決定した後でも、子供によっては成績が伸びたり、伸び悩んだりする場合があります。けれども親が子供の成績の変動に影響されすぎてはいけません。子供の成績は最後まで伸びる可能性がありますので、親はどっしりと構え、志望校について迷う事で子供に不安な気持ちにさせたりすることのないように気をつけましょう。

思わぬ成績の伸びや、伸び悩みなどにはチャレンジ校への受験や、安全校への受験など、併願校の選択によって対処するようにしましょう。

 

出典: 中学受験の基礎手引き

 

 


志望校を決めるポイント

 

★中高一貫の進学校か付属学校か

将来の大学進学を見据えて、中学高校をどのように過ごしたいかで選ばないといけませんね。

 

中高一貫の進学校は大学入試に向かって学習環境が整っていることがメリットです。塾や予備校に行かなくても授業でしっかりしたカリキュラムが組みたてられていますし、友達ともお互い良い関係で切磋琢磨できるでしょう。

大学の付属学校は自由な気風のところが多く、生徒はのびのびしています。落ちこぼれないように学習習慣をつけていれば、後は部活や個人の活動に励むことができます。もちろん付属学校から難関大学に向けてひたすら勉強する生徒も少なくありません。子供次第ということですね。

 

★経済面

私立中学に行くとなれば経済的な見通しも必要ですね。学費以外にも様々な費用が必要ですし、制服の有る無しや塾に通うかどうかによっても教育費の中身は変わってきます。親の責任として無理のない選択をしたいものです。

 

★子供の性格

与えられたカリキュラムを真面目にこなすタイプか、人から言われるのではなく自分でスイッチを入れられるタイプか、スポーツや芸術など個性を伸ばしてやりたいタイプかなど子供の性格も色々ですね。

 

いくら進学校で熱心な指導で評判の学校でも、それに乗って行けないタイプなら選択ミスとなります。中学へ入ったら3年あるいは6年はその環境で過ごすわけですから、しっかり見極めて選ばないといけませんね。

 

人格形成の大事な時期ですから、入って良かったと思える学校楽しく通える学校が理想です。

 

★子供の直観

前の項と関連しますが、子供自身の直観も重要なポイントと言えます。親が気にいって子供に見せるべく学校を訪れてみたら、子供が興味を示さないということがあります。逆に子供自身が「この学校がいい」と強く意志を示すこともあります。具体的な理由がなくても、感性のようなもので子供を動かす要素がその学校にはあるということなのです。

 

親が学校の特徴を知ることと同時に、子供の目で見ることが大事です。普段の学校の雰囲気、生徒の様子、部活など色々な場面を見せてあげましょう。見て本当に気にいったら勉強も頑張ります。

 

★1本に絞るか複数校受けるか

志望校は偏差値を見ながら1本に絞ってそこだけを狙うのか、幾つか選んで受験日程を考えながら滑り止めを考えるのかによっても選び方は変わりますね。滑り止めというより第2第3の志望校ということで、どこに決まっても喜んで通えるようにじっくり決めたいものです。

 

出典: ナナピ

 

 


偏差値からは絶対にわからない子どもの適性に合った志望校選び

 

私立中受験は家族みんなで乗り越える最初の試練と言われる。塾に通って勉強している子どもだけでなく、送り迎えや塾の課題を家で面倒を見る母親、休みの日に塾や模試の送り迎えに協力する父親、家で勉強している時には静かにして邪魔にならないようにする兄弟、姉妹など、家族みんなの協力あってこそだからだ。

 

 中学受験に適性のない子は、おそらくいない。目標に向かって努力することの大切さは、誰にとっても変わらないからだ。

 

 しかし、当の本人にやる気がない場合がある。中学受験そのものを望んでいないこともある。そんな場合は中学受験の意味を子どもとじっくり話し合う必要がある。勉強するのが嫌いだから、友達と遊べないというだけの理由では、将来、「自分のためにならない」ことを理解させなければいけない。ここで注意したいのは勉強嫌いにさせないことだ。学校を卒業して社会に出ても“学ぶ”ということは必要なのだから、最初の段階で勉強嫌いにしてしまったのでは、その後、やる気にさせるのにかなり時間がかかってしまうことになる。

 

 やる気が見えないときには、時には塾をやめさせて、別の塾に通わせることも必要だろう。本人の気持ちを優先することはもちろんだが、将来のことを考えてあげることは親の務めであり、大切なのはそのバランスだ。

 

 私立中に入学しながら、公立中に転校してしまう子どもがいる。なかには校風になじめない場合もあるが、たいていは、成績不振でついていけないケースだ。合格したら「勉強しないでいい」「入試が終わったら好きなことをしていいから」など、受験勉強の厳しさを乗り越えさせるための甘い言葉を真に受けたがために、勉強しなくなる。志望校に合格するのが目的になってしまうと、こういう不幸が起きる。親としても中学入学はゴールではなくスタートだということを、しっかりわきまえておくことが必要だ。

 

 もっとも注意して見極めるべきは、入学する学校への適性だ。偏差値が子どもの実力相応だから適した学校とは限らない。こんな例がある。成績優秀な子が東大に50人も合格する男子校に合格した。しかし、進学したのはもっと入りやすく、東大合格者は10人にも満たない学校だった。その子は中学に入ったらラグビーをやりたいため、強豪校として知られる私立中に進学したのだ。彼はいまでも成績トップでラグビーを続けている。偏差値偏重では適性は見抜けない。

 

 

●偏差値の高い学校が必ずしもベストとは限らない

 開成、麻布、武蔵、女子学院(以上東京)、灘(兵庫)など高偏差値の学校には、かなり自由放任の学校がある。もともと進学校は自由な校風で、自主性に任されてきた。それが他校にも広がり、当初は校則なども厳格だった学校も、生徒や親の要望を入れていくうちに行事などは生徒に管理を任せるといった形で、子どもの自主性をより尊重する方向に転換していったと見られる。

 

 しかし、自由な校風が本当に自分の子どもに向いているのかは考えておく必要がある。放任されたほうが伸びる子もいるが、先生から厳しく言われたほうが伸びる子もいる。少し先生に注意されたほうが頑張るのであれば、あまりにも自由な校風の学校は考えものだろう。こうした学校は、自主的に勉強も部活もやりたいという子どもに向いている。

 

 また、こんな学校もある。入学時の偏差値はそれほど高くないが進学実績を伸ばしている学校に多いのだが、勉強第一で進度も早く、朝学習、放課後補講などは当たり前で、長期休暇も講習がびっしりというスタイルだ。確かに学力はつくが、中学生になったら勉強にも部活にも打ち込みたい、と考えている子どもには居心地が悪いのは当然で、コツコツと自ら勉強する子どもに向いているといえよう。

 

 逆に先取り学習をせず、全員の学力を確実にアップさせようという方針の学校もある。勉強を子どもの負担にさせない配慮からだが、進度がゆっくり過ぎて、先に先に学びたい知識欲旺盛な子どもには物足りなく感じる。こちらは明るく楽しい学校生活を送りたい子どもに向いている。

 

 大学合格実績が伸びていても、取り組み方は学校によって違う。その教育方針をしっかりチェックしておかねばならない。

 

 勉強や部活動だけでなく、宗教教育、しつけ教育、情操教育など、建学の理念に基づく独自の教育が私学の特徴である。それに子どもがなじめるかどうかも重要だ。

 

 さらに、別学(男子校と女子校)、共学への適性も考えておく必要がある。公立中はすべて共学だが、私立には別学校が数多くある。

 

 

●男女共学・別学・併学にも子どもによって向き不向きが

 別学教育のよさとしては、異性がいないので勉強に打ち込め、それが一定の成果を発揮しているということだ。確かに今年の東大合格者数の学校別ランキング上位10校を見ると、国立の東京学芸大付を除けば、すべて男子校と女子校、つまり別学校ばかりだ。

 

 このような高い大学合格実績の背景には、性差を前提にした別学教育の強みがある。男子と女子とではそれぞれ得意、不得意の分野が比較的はっきりしている。不得意な分野はじっくり時間をかけて理解するまで授業を行うことができる。生徒の学力の底上げがしやすいということだ。

 

 さらに異性に気兼ねすることなく伸び伸びでき、自由奔放に意見をぶつけることができるのも利点だ。先生に叱られても異性がいると格好をつけて素直に聞けなかったりするのが、同性同士だとそんなことはない。

 

 別学校に進学を希望する生徒の中で多い理由として、「男子は苦手」「女子は嫌い」など、どちらかというと消極的な理由の場合が多いようだ。ただし、「苦手」「嫌い」の度合いは親にもわからない。こればっかりは子どもの選択に任せたほうがいい。

 

 共学校では男女が協力し合って、一つのことを成し遂げられる面がプラスだ。お互いに尊重しあいながら進めていくことで、早くから男女の違い、特性を理解できる。小学校の時は引っ込み思案で異性と口がきけなかった子どもでも、6年の間に打ち解けられるようになる。

 

 共学でも私立の場合は、男子生徒の数が多い傾向がある。この理由は私立中の設置数の差にある。2010年の学校数を見ると、東京では男子校34校、女子校76校、共学校71校。男子校は女子校や共学校に比べると半分以下だ。そのため、男子は共学校を併願校として視野に入れねばならず、私立中も男子の受け入れのため募集枠を広げている。さらに、男子、女子が半々だと男子のほうに元気がなくなるため、男子6に対して女子4の割合がもっともうまくいくなどといわれており、その比率も影響していると見られる。

 

数は少ないが併学といわれる学校もある。別学と共学の中間に位置する学校で、男女で募集するが男子部、女子部と分かれている。まったく男女別の学校もあれば、授業は男女別だがそれ以外は一緒など、学校によって形はさまざまだ。

 

 子どもがどのような学校に向いているのか、見極めるのは親の務めであるが、あまり親の希望を押し付けないことも大切で、そのバランスが難しい。6年間通うのは子どもなのだから、楽しい学校生活を送れることが最優先だ。喜んで学校に行けなかったら、間違いなく子どもは伸びない。学校選びは中学入試において最も難しく重要なテーマなのだ。

 

出典: ダイアモンドンライン

 

 


中学受験の第一人者が教える! 後悔しない学校の選び方とは?

中学受験、合格の喜びも束の間、「こんなはずじゃなかった……」と学校選びで後悔する例があとをたたないという。そこでベネッセ教育情報サイトでは、私学教育研究の第一人者である森上展安氏に、後悔しない学校選びのコツを聞いた。

 

「後悔しない受験校選び」でいつも申し上げているのですが、入学して「この中学校は合わない」と思ったなら、なるべく早く、ゴールデンウィーク明けにでも学校を変えたほうがよいでしょう。「そんなばかな」と思われるかもしれませんが、今年5月にもう3人ほどのかたから、続けざまに相談を受けました。「後悔しない」という点からいえば、「合わない」ということはないに越したことはありませんが、もし「合わない」のであれば、早く変えたほうがよいと思います。

 

決める基準は、得意なものがあり、楽しい生活ができる学校かどうかです。「主要5教科」ではなく、むしろ「技能4教科」の美術や体育、音楽などが得意で活躍できる、あるいはクラブで活躍できるとします。すると、お子さまは学校に自分の根城ができて、楽しい生活を送ることができますので、その学校は「合っている」といえます。

 

また、学校は勉強するところですから、勉強はできるに越したことはありません。「できる子が偉い」のも事実です。ですから、入学後、なるべくお子さまが成績で上位に入れる学校を選んだほうがよいでしょう。ただし、入試の成績が振るわなくても、入学後にがんばればよいのです。

 

校外のいろいろな機関など、外の世界とうまくネットワークを組んでいる学校が、今の時代にはふさわしいといえます。本当に信頼して話をできるかどうかという部分には、長い付き合いが必要で、それには学校の人脈やネットワークが生きてきますし、中学校・高校と仲のよい学校はたくさんあります。ぜひ、仲のよい学校に入学し、うまくいかなかった場合にも、声をかけてくれる仲間を得る場として学校を選ぶとよいでしょう。

 

出典: ベネッセ教育情報サイト