東大発表によると、今年の東大の合格者は3108人。このうち現役は2043人の約66%だった。出身高校の所在地別にみると、東京が1156人で37.2%、関東全体では58.9%で例年並み。男女別では、男子が2522人、女子が586人で、女子比率は昨年より微増し18.9%。
一般入試と推薦入試をあわせた東大合格者数のトップは開成(東京)。35年連続という盤石の強さだが、昨年の185人から167人と合格者数は減らした。昨年5位の駒場東邦(東京)も25人減の57人、同6位の桜蔭(東京)が19人減、8位の海城(東京)が26人減と、東大合格の常連校が軒並み数を減らしている。この状況について、駿台予備学校進学情報センターの石原賢一さんは、「東大よりも他大の医学部志望が多かったのでしょう。昨年の反動もあります」。
2位の灘(兵庫)の合格者は93人。このうち最難関の理IIIに19人合格。京大の医学部医学科にも25人合格。両大ともに2位の高校の2倍以上の合格者を出し、難関医学部への圧倒的な強さは相変わらずだ。
合格者数を大幅に増やした高校を見ると、渋谷教育学園幕張(千葉)が目を引く。昨年比20人増の76人。進路部長、井上一紀教諭はこう語る。
「東大理系・文系、医学部の受験者数は昨年とほとんど変わりません。学校の夏期講習にほぼ全員が参加。受験直前まで自習室で勉強する生徒が例年より多いなど、学年全体のまとまりの良さも好結果につながった」
19人増の44人が合格したラ・サール(鹿児島)は、医学部に強い高校だが、今年は東大の受験者が多かったという。
「現役の受験者は医学部86人、東大60人。東大現役の文系の合格者も4人から15人と増えました」(谷口哲生副校長)
今年は公立の躍進も目立った。トップは日比谷(東京)で12人増の49人。2000年以前に1人にまで落ち込んだが、名門校復活の印象は強い。
「生徒が知的好奇心を増して、自主的に学んでいることが実績につながっているのだと思います」(進路指導部主任の臼田浩一教諭)
このほかにも、栄東(埼玉)が18人増の27人、豊島岡女子学園(東京)が10人増の40人と健闘した。
入試の難易度について、前出の石原さんは「文系数学が易しく、理系数学もやや易化した」とみる。推薦入試の影響はどうか。
「地方での説明会を初めて実施し、東大に目を向けさせる効果があった。今後、地方からの合格者が増える可能性はあります」(石原さん)
東大は合格発表があった10日、2018年入試から、医学部医学科に進学する理科III類の試験に、面接を導入すると発表した。
1999年から2007年まで実施した面接を復活させる背景には、最難関という理由だけで受験して、あとで医学に向かないことに気がつく学生がいること、臨床で必要なコミュニケーション能力も受験時に見極める必要があるためという。
東大は積極的に入試改革に取り組んでいる。受験生は今後も注意が必要だ。
一方、京大の志願者は8321人で合格者は2888人。京大合格者数は、昨年は60人で4位だった洛南(京都)が68人でトップ。2位は昨年同様、東大寺学園(奈良)で64人。3位は北野(大阪)だった。
※週刊朝日 2016年3月25日号